2001.07.14~15 (土日)   K2Couple No.0046

苗場山
なえばさん(長野県・新潟県)
2,145m
お花畑と池塘が点在する山頂湿原

コース最大標高差 : 925
コース累積標高差(+) : 1,395
コース累積標高差(-) : 1,395
コース距離 : 14.5 km
行動時間 : 11'50"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 苗場山頂湿原

  6:20 = 前橋南IC/北関東道・関越道/月夜野IC = 8:10 みつまたゲート = 8:30 駐車場

 駐車場 8:45 ... 9:10 和田小屋 ... 10:10 下の芝 10:25 ... 11:25 中の芝 【L】 11:50 ... 12:15 小松原分岐 ... 12:35 神楽ガ峰 ...
 12:55 雷清水 13:05 ... 14:15 苗場山 ... 14:30 頂上小屋 【泊】

 頂上小屋 6:00 ... 7:00 頂上端 ... 8:00 雷清水 8:05 ... 8:25 神楽ガ峰 ... 8:35 小松原分岐 ... 9:00 中の芝 【L】 9:30 ...

 10:00 下の芝 10:10 ... 11:00 和田小屋 11:35 ... 12:05 駐車場
 駐車場 12:10 = 12:50 本陣 13:55 = 14:10 太助 14:30 = 月夜野IC/関越道/高崎IC = 15:5

 
 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

地図表示 苗場山の場所

苗場浅貝温泉 御宿本陣 (¥650)


 大たい昔から名山と称せられているものは、平野からよく見える山である。
 ところが苗場山は奥山で、街道筋からは見えない。
 (中略)
 もし苗場が平凡な山であったら、ただの奥山として放っておかれただろう。
 ところがこれは人の眼を惹かずにおかない。
 そして一ぺんその山を見たら、その名を問わずにはおられない特徴を持っている。
 すぐれた個性は、どんなに隠れようとしても、世にあらわれるものである。
                                                  
深田久弥『日本百名山』より抜粋



 白砂山の北、長野・新潟県境稜線上にある2145mの苗場山は、越後一の名山と言われる自然豊かな山。
 その山頂部には4平方㌔という広大な湿原が広がり、湿原には1000以上とも言われる数多くの池塘が点在し、高山植物も多い。
 7月になると池塘にはミヤマホタルイが伸び、早苗田のような光景となる。
 これが山名の由来と言う。
 山頂湿原の木道散策は、鳥甲山、岩菅山、横手山、白砂山など、上信越の2000m級の明峰を望む雲上のプロムナード。
 眺望はさらに遠く、谷川連峰・巻機山から群馬・新潟の山々、そして快晴に恵まれれば富士山、佐渡、能登半島まで広がる。
 なお初冬の晴れた日には、遠く前橋市付近の関東平野からも小野子山の西に苗場山の特徴ある長い頂稜を望むことができるだろう。

                                                上毛新聞社『群馬の山歩き130選』より


新潟と長野県境に位置する苗場山の頂上は、広大な高層湿原に、大小無数の池塘とお花畑、オオシラビソの森が広がる雲上の楽園である。

人の良さそうな親父さんがいる三俣ゲートで登山届を出し。
狭い山道の行き止まり、和田小屋下の駐車場に入ります。
小屋までブラブラ登ると、ここにも駐車場あり。

木の根が張り出した、粘土質の滑りやすいジメジメした道は湿気が多い。
たちまち汗が噴出してきた。

 小松原分岐付近を登る

オオシラビソの針葉樹林帯を抜けると、明るく開けた中の芝に着きます。

小松原湿原への道を右に分け、ガスに巻かれながら神楽ガ峰のヘナチョコピークを踏み、股摺岩を越えて雷清水に下る。

 神楽ガ峰をコルまで下る

苗場山はガスに隠れて望むべくもないが、急峻に切立った尾根がガスの間に垣間見えて、迫力のある山容が想像できる。

最低鞍部はお花畑になっている。
ニッコウキスゲやウスユキソウ、ミヤマナデシコ等の可憐な花が。
花弁を少し濡らして揺れていた。

 山頂はガスでぼんやり

両側が切れ落ちた岩稜を仰ぎ見ながら、最後の急登を頑張る。
広大な山頂湿原の端に飛び出して、突然の開放感に歓喜感激する。
周囲からせりあがった山の上に、こんなのどかな場所があるなんて。

遊仙閣の横を通り、山頂ヒュッテで手続きを済ませる。
カイコ棚に荷物を降ろして、ベッドメイクに取り掛かります。

隣の広島弁の男女に出所を尋ねたら、山口県人だった。
相当なロングランだね。

 夢に見た広い山頂湿原

湿原の散策に出掛ける。

秋山郷の小赤沢方面への木道を辿り、雪田を越えて広い休憩所でグレープフルーツを食べながらたぬき寝する。
平和で静かなひととき。

夕食後外に出て、するすると沈む夕陽を眺める。
一筋の雲に仕切られた鮮やかな夕陽が沈む。
ガスの流れに、ゆらゆらと移ろう瞬間毎に歓声があがります。

 一ヶ所だけ残っていた雪田
らしくない山頂 ショウジョウバカマ イワイチョウ ミヤマホタルイと沈む夕陽


4時に起き出して、高台でコーヒーを飲みながら夜明けのときを待つ。
池塘のかなたオオシラビソの森から。
ぼんやりと雲を染めて新たな一日の太陽が昇り始めた。

我が町がすっぽり入る広さの湿原には、朝靄がたちこめて幻想的です。
雲上に広がる非日常的な感動を、胸にしっかりと刻んだ。

湿原に訪れる夜明けの感動と共に、ブヨの大群に襲撃された。
はらっぱは額や首や耳をやられまくる。
ぎゃあ~。

     
 湿原の夜明けに立ち込める霧
                                      朝もやのかかった山頂湿原 

朝食後あわただしく小屋を発ち、赤湯方面に足を伸ばして湿原を散策する。

夜明けに見えた岩菅山、谷川など周囲の山々は湧き上がるガスで全く見えなくなってしまった。

湿原に別れを告げて、転げ落ちるような急斜面をいきなり下ります。
今日も昨日と同じようにガスの中の行動です。
直射日光を受けるよりはいいか と負け惜しみを言いながら・・・。

 赤湯寄りの湿原から山頂ヒュッテを振り返る
ウスユキソウ イワイチョウ ミヤマナデシコ アカモノ
ニッコウキスゲ クルマユリ ウラジロヨウラク ヒメシャジン オオシラビソ

中の芝では岩の上に陣取り腹ごしらえをして、ここからの悪路に備えます。

 キャイーン中ノ芝

和田小屋の前で一息入れ、湧き水場で靴を洗って帰路についた。

浅貝温泉本陣の薬湯にじっくり漬かり。
はらっぱはブヨの傷跡の治療に専念する。

太助に立寄って、うどんとそばを食べた。
下界は相変わらずの猛暑、山上の涼しさが恋しい。

心和む日没と澄んだ星空。
そして荘厳な夜明けに広がる大湿原が、深く印象に残る山行だった。

 和田小屋の前で