2003.08.23〜24 (土日)   K2Couple No.0089。

燧ヶ岳
ひうちがたけ(福島県)
2,360m
尾瀬沼と尾瀬ヶ原を見下ろす湿原の山

コース最大標高差 : 850 m
コース累積標高差(+) : 1,410 m
コース累積標高差(−) : 1,410 m
コース距離 : 18.9 km
行動時間 : 14'00"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
▲ 熊沢田代から燧ケ岳の登りにかかる  ▲ 俎�ーから芝安�ー
 ■ 21:20 = 日光 = 桧枝岐 = 1:45 尾瀬御池駐車場(車中泊)
 尾瀬御池駐車場 5:50 ... 6:50 広沢田代 7:00 ... 8:00 熊沢田代 【L1】 8:20 ... 9:45 俎�ー 10:10 ... 10:35 柴安�ー 【L2】 11:30 ...
 14:05 尾瀬沼分岐 ... 14:20 下田代桧枝岐小屋(泊)
 桧枝岐小屋 6:35 ... 7:10 温泉小屋 ... 7:25 平滑の滝 ... 8:10 三条の滝 8:20 ... 8:55 渋沢温泉小屋分岐 9:05 ...
 9:45 シボ沢吊橋 9:55 ... 10:50 横田代 ... 11:05 上田代 【L】 11:35 ... 12:05 御池駐車場
 御池駐車場 12:15 = 12:40 燧の湯 13:20 = 17:55 ■


 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

燧ヶ岳の場所

桧枝岐小屋(¥8,500)    桧枝岐温泉 燧の湯(¥500)


 広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧ヶ岳と至仏山。
 燧の颯爽として威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした柔らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。
 原の中央に立ってかれを仰ぎ、これを眺めると、対照のの妙を得た造化に感嘆せざるを得ない。
 尾瀬沼から燧ケ岳をなくしたら、山中の平凡な一小湖に化してしまうだろう。

                                                  深田久弥『日本百名山』より抜粋


 燧ヶ岳は標高2360mの柴安�ーを最高点とするかつての火山で、このほか俎�ー、みのぶち岳、赤なぐれ岳の4峰が山頂部を形成している。
 燧ヶ岳の標高を超える山は、これ以上北にはなく、尾瀬沼にシルエットを落とす燧ケ岳の雄姿は広く知られるところである。
 山頂からの眺めは申し分なく足元に光る尾瀬沼や、散りばめたように無数に輝く尾瀬ヶ原の池塘群。
 さらに、はるか奥利根から奥会津に連なる頂稜のうねりなど、立去りがたい展望が印象に残るであろう。
 裏燧林道コースは、福島県側の御池より燧ケ岳の北面を三条の滝方面へとのびる通称��裏燧林道�≠ニ呼ばれる道を歩くもので、シーズン中
 ににぎわう尾瀬沼や尾瀬ケ原あたりの喧噪からは想像できないほどの静かな山歩きが楽しめる。
 特にこのコースの良さは秋で、9月下旬から10月中旬にかけての、コース途中にある��上田代・横田代�&t近の草もみじは美しさの極みで
 ある。
 三条の滝は燧ヶ岳の噴火により溶岩が只見川をせき止めて出来たものと言われており、��尾瀬�≠ニいう優しい言葉のイメージとは違った勇
 壮な景観を見せてくれる。
 落差100mといわれる水量の落下は見る者を後ずさりさせるほどの豪壮さで、特に雪解けの水量が一気に集中する6月ころの景観は迫力あ
 ふれる。

                                                 上毛新聞社『群馬の山歩き130選』より

鳩待峠から入り、翌日燧に登る計画だったが、御池ルートに変更した。
性懲りもなく4時間以上かけて、夜中に御池駐車場に着き車中泊です。

満天の星。
地球に大接近中の火星と下弦の月が、ひときわ赤く輝いてきれいだった。

▲ 広沢田代を見下ろす 

あまり歩き易いとは言えない樹林帯の急登をシコシコこなすと、気持良く開けた広沢田代だ。

オオシラビソの彼方に会津駒が見える。

再び樹林帯の急登に突入し、汗がしたたり落ちてくる頃、熊沢田代の大草原に出ます。

▲ 熊沢田代に伸びる木道 

のびやかに広がる傾斜湿原の中には、キンコウカやイワショウブの花が賑やかに咲いていた。
木道を挟んで二つ並んだ池塘の上に平ヶ岳が大きく鎮座して、越後の山並みが望まれる。

熊沢田代で行動食をとり 「さて、行こうか」。

真夏の太陽をまともに受けながらグングン高度を稼ぎます。

▲ 池塘のかなたに平ヶ岳 

荒れた崩壊地のトラバースから見下ろす熊沢田代の池塘と、緑の中にくねくねと延びる木道がとにかく美しい。

沢を渡って尾根を何度も回り込み、最後は岩がゴツゴツした涸沢を直登して、潅木帯を抜ければ俎�ーに到着。
まだ上があると思っていたので、あっけない登頂となった。

▲ 熊沢田代全景 

毎日旅行のツアー団体が山頂を占領している。
(落伍者2名を途中に残して)

好天に恵まれて360゜の山岳大展望が広がり、眼下には尾瀬沼や尾瀬ヶ原が手に取るように俯瞰できた。
ザックを下ろすのも忘れて、山々の連なりに見とれる。

南ア、八ヶ岳や富士山まで見渡せる幸せ者になる。

▲ 俎�ーから望む尾瀬沼と日光の山々 
                  ▲ 俎�ーから目の前の芝安�ーに移動して、お弁当にしよう 

燧ヶ岳最高点の柴安�ーは目の前に聳え立っていた。

コルに下りて柴安�ーに登り返し、至仏や武尊や赤城山と丸ごとの尾瀬ヶ原を副食にして、超豪華なランチタイムが厳かに繰り広げられたのであった。

燧ヶ岳は以北最高峰、つまりここから北にはここより高い山はないという場所での1時間は最高の贅沢である。

ゆっくりと重い腰をあげて見晴新道の下りにかかる。

▲ 芝安�ー最高点 

温泉小屋に下る道が分岐する所までは、展望もあり楽しく下山できたが、その下は浮石ゴロゴロ足場は悪く、展望もなければ涼風もなし。
ああ、この下りなっげえ。
めっきり口数も少なくなる二人であった。

むさ苦しい樹林帯を抜けて、沼と原を結ぶ木道に出た時はやれやれ。
桧枝岐小屋に入る。
今年5月に来た時にベンチで休憩、トイレを借りた小屋だった。

尾瀬ヶ原の散策に出ると、まだ花が結構咲いています。
5時半に夕食、そして7時には就寝。

▲ 尾瀬ヶ原を俯瞰する超豪華なランチタイム 
▲アキノキリンソウ ▲コバノギボウシ ▲カメバヒキオコシ ▲オニシオガマ ▲オゼヌマアザミ ▲チョウジギク
▲ミゾホウズキ ▲サワギキョウ ▲ゲンノショウコ ▲ヤマハハコ



 朝霧の中で燧ヶ岳から始まる夜明けを見るために、暗いうちから小屋を飛び出す。
 忍び寄る秋の気配、長袖に上着を羽織りましょう。
 至仏山、景鶴山の麓にはガスが漂って、尾瀬の朝らしい雰囲気をちょっぴり味わう。

 朝食を頂いて、小屋を出発する頃には上空を覆っていた雲も消えて、昨日並の快晴が約束されます。

▲ 至仏に続く木道 ▲ 燧ヶ岳の夜明け ▲ キンコウカと至仏山





温泉小屋を経由して、平滑の滝に向かう。
ウルシの木が紅葉し始めていた。

はるか下方の平滑の滝はナメ滝なので、音のわりには目に訴えるものがなかった。
沢沿いの湿った道を更に下って行きます。

急な階段を伝って三条の滝展望台に下り立つ。
尾瀬の水を全て集めて、只見川を一気に100�b落下する姿は壮観だ。
スローモーションで落下してゆく水飛沫を、飽きもせず眺める。

大学一年のとき以来の実に39年ぶり。
悠久の時を刻んで、ゴーゴーと音を立て続けます。
川の流れのように人生も流れた ・・・。

厳粛な気分にさせられる大自然の威力。
落下する水のかたまりに、ただただ空ろな視線を注いでいた。
二人とも無言。



分岐まで戻り、段吉新道に合流するまで急坂を登って行くと、御池からのハイカーにチラホラ遭遇するようになった。 

         ▲ 三条の滝

燧裏林道は地図上では平坦道に見えるが、沢を横切る度に下っては登り返しを繰り返す。
樹林の中で展望はないし、とにかく暑かった。

兎田代、天神田代、ノメリ田代、横田代、姫田代等が点在する燧裏には期待していた。
しかしブナやオオシラビソの樹林帯の中にこじんまりと佇む湿原には閉塞感があり、あまり好きにはなれなかった。

シボ沢は降雨時に鉄砲水になるらしく、立派な吊り橋が架けられている。

▲ シボ沢の吊橋 

小さな沢で靴を脱ぎ、水につけた手足が冷たがる。
上田代辺りは広く開け、正面には平ヶ岳、背後には燧の山頂が見える。

暑い陽差の中でも、涼風が身体の中を通り過ぎて行くのが何とも快い。
夏の残花を楽しみながら、御池田代を過ぎれば駐車場に到着です。

御池〜燧ヶ岳間が開放的で気に入ったせいか、見晴新道や燧裏林道の物足りなさが強く印象に残った。

▲ 上田代から燧ケ岳 
▲ ダイモンジソウ ▲ オゼミズギク ▲ コケモモの実


 檜枝岐村に下り、会津駒ヶ岳の時は「駒の湯」に入ったので、今回は勿論「燧の湯」です。
 建物も温泉も似たりよったリだったが、一応けじめがついた感じで満足する。

 帰路は特に渋滞もなかったが、往復450Kはさすがに遠いと思った。

 今年は福島の山を目標にしていた訳だが、桧枝岐周辺は4座登った。
 会津駒と燧ヶ岳は、会津の名峰と呼ぶに相応しい存在だ。
 また、いつの日か登りたい山だった。